1月度例会報告

ベンチャーコミュニティー第207回例会講演概要
◆日 時:平成29年1月17日(火) 18時30分~19時30分
◆場 所:グランフロント大阪・イノベーションハブ
     ナレッジキャピタルタワーC7階
◆講 師:増田 徳兵衛 氏
     株式会社増田徳兵衞商店 代表取締役社長
     「月の桂」蔵元14代目当主
     伏見酒造組合理事長
     京都府酒造組合副理事長
     日本酒造組合中央会理事・海外戦略委員長
     同志社大学事業継承学会理事
     桃山学院大学エンターテイメント講座講師
     農林水産省和食ユネスコ無形登録委員
     全日本食学会理事
     和食文化国民会議理事
     日本酒造組合中央会乾杯推進委員会委員
     ミス日本酒顧問
◆テーマ:「世界に冠たる日本酒の凄さ」

-講演内容-
①月の桂の酒蔵…創業1675年、伏見で最も古い酒蔵。
外観、内観含め写真付きで解説。
②最近の国内動向…日本の酒蔵は戦前比で1/4程に減少。40年不況に耐え
乗り越えて来た。消費量も減少の一途を辿っており、年齢別でも60・70代のみ伸びて他世代は全て減少。
③ワインとの比較…日本酒は製造工程含め世界で最もわかりづらい醸造酒
である。ワインは産地や原料影響を強く受けるが、日本酒は技術の影響が
7割を超える。日本酒は *厳しい基準の水を使っている *国の菌で醸している*日本の米を使っている *和食がユネスコの世界遺産 *古くから作られている *日本酒のオリジナリティー *酒器のすごさ *和食に限らず日本食の凄さ *日本酒は粋な世界を演出 → 国の名前がついたお酒は世界中で日本酒のみ!!
④歴史に学ぶ、日本の酒・京の酒…縄文時代から醸造酒の歴史が確認されている。時代と共にどう推移して来たか解説。
⑤伝統を受け継ぐ…時代と共に酒の楽しみ方は変遷している。江戸時代に
は「茶道」や「華道」のように「酒道」があったり「酒合戦」という飲み比べ大会があったが、今には受け継がれていない。しかしながら、月の桂では酒蔵の伝統や、大切にしている価値観・考え方は代々の当主によるメッセージでしっかり受け継がれブラッシュアップされている。
⑥米作りから酒造…酒に合う良い米を選んで作って、精米から洗い、蒸し、温度管理など全工程をいかにちゃんとやるかで良い酒ができる。

【雑感】
ルイ・ヴィトンが、フランクミュラーが、コラボしてほしいとやって来る。ロマネコンティーが、ドンペリニヨンが、遊びに来て増田氏と並んで撮った写真もる。日本酒そのものの歴史や伝統を熟知し、酒造の技術を時代と共に研鑚し続けている。
そこに「遊び心」や「粋」の世界がしっかりと加味されている。
「月の桂」には50年ものを含む年代物のストック酒が1200本分はあるそうだ。安売りしないで1ボトル200万円での販売も検討している。
340年を超えて瑞々しい輝きを放つ、只事じゃないブランドである。「創めるは易し、守るは難し」の言葉の重みを感じつつ、縄文時代以降いにしえの日本文化にも思いを巡らすひと時であった。
                        以上(文責 渡辺)