2月度例会報告

ベンチャーコミュニティー第 231 回例会 講演概要

■日 時:2019年2月22日(金) 18:30~19:30
■場 所:大阪産業創造館17F
■講 師:小澤 俊文 氏(おざわ としふみ)  
          株式会社コロンバン 代表取締役社長 
■テーマ:「社員の可能性を信じる」  
      ~コロンバン挑戦の軌跡~
■講演内容
銀行からお菓子に何の基礎知識もなくコロンバンに入り、社長として会社再生に挑戦し復活させた熱い日々のお話でした。製品開発秘話や人材育成、売るストーリー作りなど『おもしろくて』『ためになる』とは、まさに今回の講座でした。全部は書けませんが概要をご紹介(文責 いしやませつこ)

1. 減収増益経営の20年間のツケ
2. まさにPDCAが重要だった新製品開発
3. ていねいな仕事・最高品質でまねされない
4. ヒット商品ができるまで
5. 売り上げが伸びて戻ってきたもの

1.減収増益経営の20年間のツケ
 ■創業者の成功は当たり前、そのあとが難しい
  最大年商130億円が30億円になっていても手立てなく、再生計画を作っても実行 できない会社だった。
  工場最大8工場→3工場になっていた・・・減収を補うために順々に売却して売却益で給料は滞りなし残った  工場も機械のメンテナンスが滞り応急処置で綱渡り状態
 ■生菓子メーカーなので、工場がなくなるといろいろなモノが失われる
  工場が無くなる→付近のマーケットが無くなる→生産技術が無くなる
  →社員が不要に→新入社員が不要→研修が不要、教育のチャンスが無くなる・・・
  売れても売れなくても収益があり給料が出る『減収増益経営』→→→社員のやる気も無くなる。
   売れないものは作るな、損を出すな、ということで就任時店頭のショートケーキは5種類ほどだった

2.まさにPDCAが重要だった新製品開発
 ■やることは一つ、売り上げを上げて、工場を立て直す!
  『再生・改革の手順(P.D.C.A)』
    ・現状分析(改善項目が340以上に)
    ・当社に残されている活用可能なものの整理
    ・活用できる資源を利用し、ヒット商品を開発
    ・売上アップにより得た利益で新商品開発
    ・売上アップにより得た利益で、設備投資や人員強化へ

3.ていねいな仕事・最高品質でまねされない
 ■品質に自信がある
皇室御用達、天皇陛下が皇太子時代に「銀ブラ事件」で当社のアップルパイを食べに来られた。そもそも天皇の料理番秋山徳蔵と共に当時天皇のパティシエを務めた門倉國輝が創業者。その時から変わらず同じレシピで作るアップルパイを陛下が懐かしく頬張られたということ。今も全く変えずカスタードを使わないリンゴのみのもので、この姿勢は当社と帝国ホテルだけ。・・・でも当社のほうがお客様においしく召し上がっていただく工夫が勝っています。

4.ヒット商品ができるまで
① 5年間休眠していた3億円のチョコ掛け装置を発見
② 東京駅のマーケットにチョコ商品があまりないことに気づく
① + ② 既存のクッキーにチョコをかけ『東京サクサクチョコ』誕生!大ヒット!
あるものの組み合わせで新しい商品としてヒットさせた
③ 夏はチョコが溶けるので売れない
④ もちろん夏用のチョコ商品はないが夏もチョコが食べたい人はいっぱいいる
③ + ④常識を破り夏に溶けないチョコ『原宿焼きショコラ』開発!これも大ヒット!
溶けないチョコ?と社員から総スカンを食うも常識破りの商品を開発、ヒットさせた
⑤ 生菓子をヒットさせたい
⑥ 「原宿」と冠したお菓子が無い
⑤ + ⑥ロールケーキブームにのっかり『原宿ロール』開発!これも大ヒット!
丸めて裂けない生地の開発、1本売れれば世界のこどもにワクチンをというストーリーで社会貢献を 進めていく売り方を工夫した。お客様は『本物』に飢えている。売り方次第。
⑦ お菓子屋さんはフロービジネス、ストックビジネスに変えたい!
⑧ 既存の缶入り焼き菓子「フールセック」を活用したい
⑦ + ⑧パッケージに大学の校章をデザイン、母校愛で売っていく『大学デザイン缶』
大学約400、卒業・入学・OB会・祝勝会・・行事がたくさんあり、確実にストックビジネス。大学は一度決めるとたいてい変えない、大学生協の職員の紹介もある
OBが会社の記念品として発注してくれたりもする。商品が営業してくれるビジネス。

5.売り上げが伸びて戻ってきたもの
■『東京サクサクチョコ』を手に店頭に立ち試食販売を社長自ら1週間
絶対売れるはずなのに売れない→なぜか??→調査→店頭販売員が接客営業していなかった!
社長自ら白衣に帽子でショーケースの前に立ち試食販売を連日展開、1週間連続で売り切れ達成
→→売れたことでそれを見た販売員が自信を取り戻し→→製造メンバーも自信を取り戻した

■社長就任時から積極的に毎年採用してきた社員が育って、今は中心メンバーになっている
当時就職氷河期で、優秀な学生がうちに来てくれたのはラッキーだった。その人たちが育てる後輩は優秀で、それがまたいい。

経営者は健康管理が大切、毎日トレーニングをしています
『諦めず、信頼に対する感謝を忘れない』という言葉を大切にしているとおっしゃっていました。

質問コーナーでは
Q.大学への売り込みは、どうしてライバルに勝つことができたのですか?
Q.採用されるとき、どんな基準で選ばれたのですか?
Q.ヒットする新商品を思いつくキッカケは何ですか?
Q.高単価商品のコンビニ展開は考えておられますか?
というような興味深い質問に丁寧に答えていただき、全員が「なるほどな~!」と膝を打っていました。
この答えが知りたい方は、事務局にリクエストください^_^

記録・文責 (世話人) 石山せつこ  あるくらぼ歩行研究所